Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

事実かどうか? NEW
2015年05月25日

防府日報(2015,05,25)
       事実かどうか?
       山口県立大学理事長
             江里 健輔

患者さんからのメール相談です。
「昨年末、便秘になり、近所の医院に受診。医師は看護師さんに専門用語で指示。浣腸を受け、そのまま、同意書を求められることもなく、大腸カメラをされました。始まると同時に突然叫ぶほどの激痛。止めるように頼みましたが、そのまま続行。検査終了数時間後に高熱を来たし、他の大病院に受診し、大腸カメラによる大腸穿孔と診断され、そのまま入院させられ、点滴などの治療を受けました。退院5ヶ月になりますが、腹痛と下血が続いています。治療に納得出来ず、セカンド・オピニオンを希望。紹介状には、驚いたことに、『大腸カメラによる大腸穿孔』ではなく、『憩室炎で、それによる穿孔』と記載されていました。大腸カメラをした医師は大病院の医師達の大先輩で、地域のボス的存在だとのことです。多分、大腸カメラによる大腸穿孔を医師達はうやむやにしたかったのではないかと推測しました。納得出来ず、大学病院に受診しましたが、そこでは、『大学病院まで来る病気じゃーありません。大病院に戻りなさい』と言われ、詳しく診て貰えません。本当の病状を知りたいのですが、どうしたら良いのでしょうか?」
とのことでした。
このメールの内容がすべて事実と思いたくありませんが、患者さんの目線に立った配慮が全くなされていません。このような医療がまだ行われている現実に、砂を噛むような、やりきれない思いです。
医療は100%安全ではありません。どんな検査や手術でも、数%の合併症を伴います。大腸内視鏡検査で一番多い合併症は大腸穿孔です。従って、この検査で、穿孔を来すことはやむを得ないかもしれませんが、穿孔を隠蔽しようとする医師の対応は言語道断です。
受けた検査・治療に納得出来なければ、納得いくまで説明を求めるべきです。スタッフの対応に不満があれば、病院長をはじめ、その病院の責任者に説明を求めるような前向きの行動が必要です。その一つ、ひとつの行動が地域の医療を高めます。
「自分の体は自分で守る」、「良い医師を選択するのも寿命にうち」、という言葉があります。肝に銘ずべきです。



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