Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

ある居酒屋店主のぼやき NEW
2015年09月24日

宇部日報(2015,9,24)    
  ある居酒屋店主のぼやき
         山口県立大学理事長
              江里 健輔
お客と居酒屋店主の会話
お客「随分、涼しくなったが、この夏、お客の入りはどうですか?」
店主「『ときわ動物園』がリニューアルされたためですかね?さっぱりですわ。このままじゃ、早晩、店を閉じなきゃなりませんね」
お客「そこなんだよ。『ときわ動物園』がオープンされた7月18日から8月27日にかけて5万6571人で昨年より8%増加したらしいです。おやじさん、『ときわ動物園』の前に店を移し、この人達に店に寄ってもらったらどうです?」
店主「冗談でしょう。動物園ですから、子供ずれで、お酒を飲むような人はいませんよ。オモチャ屋ならすぐでも移りますがね」
お客「そうですね。移ってもさまにならんということですか。『ときわ動物園』も大事じゃが、市民の生活がかかっている新川駅前を早くどうかしてほしいね?こちらの方が先と思いますがね。私の記憶では、確か、新川駅前開発審議会のような会が発足してと聞いていますが、おやじさんのことを思えば急いで欲しいね。それにしても、おやじさんも大変ですね。同情しますよ」
店主「ありがとうございます。まあ、これに懲りず足を運んでくださいよ。そのうち、リニューアルされることを期待していますから。私が生きているうちには間にあわないでしょうが・・・」
お客「おやじさん、お歳はいくつですか?73歳、まだまだ若い、若い。あまり悲観せずに、ぼちぼちやって下さいよ。私は応援しますよ」
店主「有り難いことです。お客さんのような方が大勢おられるといいんですがね。でも、もう限界だなあー」
20年前ごろ、研究会などで講演者をお招きした時、宇部には案内するところが全くなかったので、案内するところは秋芳台、萩、山口市でした。また、会食後、街をぶらぶら歩いても、誰にも会わないので、「まるで、ゴースト・タウンだね。江里さん、ようこんな街に住んでいますね。学生さんも気の毒だね」と冗談めいて皮肉られたものでした。当時の医学部学生さんは、「街の中心がない」、「若者を楽しませる場がない」、などという不満をもらしていました。今や宇部中心街は瀕死の状態です。
スペインバンプローナ市にあるナバラ州立大学に留学している山口県立大学の学生が「人口20万弱の街ですが、街の中心に広場がある。そこにはちょっとした買い物が出来、カフェがある、レストランがある、音楽がある。生きていることが実感出来る」と報告していました(朝日新聞、20158,28)。
総工費約21億円投じてのリニューアルの「ときわ動物園」が宇部市の売りになることを期待していますが、新川駅前の居酒屋のおやじさんが嘆いていたように、市民の生活が委ねられている宇部中心街の活性化は何事にも勝る緊急の課題です。




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