Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

罪な受動喫煙 NEW
2016年01月21日

ほうふ日報(2016,01,21)       
      罪な受動喫煙
        山口県立大学理事長
             江里 健輔
知人から相談を受けました。
「俺の女房は酒もタバコも飲まないのに、肺癌に罹ってしまった。それも質の悪い線ガンと言われた。規則正しい生活をしているのに、どうして肺ガンに罹ったのじゃろうか?」
「お前はニコチン中毒と言ってもいいくらい愛煙家と聞いているが、本当かい?」
「そうだ、おれは1日に2パックぐらいタバコを吸っているよ。それと関係あるのか?」
「そうだよ。『受動喫煙』という言葉を知っているかい」
「『受動喫煙』ってなんだい?」
「要するにお前が吸ったタバコの煙を奥さんが間接的に吸ったために、肺が冒されて肺ガンに罹られたのよ。特に、受動喫煙の場合、タバコの煙を肺の奥まで吸い込むため、質の悪い線ガンが発生することになるのだ。しかし、タバコを吸っている本人にはタバコの煙は大きな気管支ぐらいしか届かず、すぐはき出されるので、比較的質のよい扁平上皮ガンに罹るというわけだ。そう考えると喫煙者は無責任と言えば無責任で、奥さんの病気の原因はお前の所為と言えないこともないよ」」
「・・・・」

現代病で最も怖い病気として恐れられている病気が「ガン」です。何故、恐れられているのでしょうか?それは完全な治療法が開発されていないからです。即ち、「ガン」=死という公式が成り立っているからです。
「ガン」は生活習慣病です。その証拠は我々を取り囲む環境が「ガン」発生と関係があることが判ってきたからです。最も関係あるのは喫煙です。喫煙はあらゆる「ガン」発生に関係しています。なかでも、肺ガン、胃ガン、食道ガン、膵ガンの発生と深く関わっています。また、『受動喫煙』は肺がんが関係します。
その他、飲酒は肝ガン、大腸ガン、食道ガンに、肥満は肝ガン、大腸ガン、乳ガンの発生に関係します。
受動喫煙を予防する方法は喫煙者に近づかないことです。喫煙者が肺ガンに罹るのは自分が蒔いた種ですから自業自得ですが、全く関係ない人に悪い影響を及ぼすことは許されることではありません。最近は家庭内で喫煙する人は少なく、また、喫煙所がどこでも設けられていますので、受動喫煙による肺ガン発生数は減少するでしょうが、喫煙者はタバコの怖さを認識し、直ちに禁煙すべきでしょう。「俺はタバコを吸うのを禁止されたら、生きていても仕方ない」と居丈高に豪語する人がおられますが、このような人に限って、肺ガンと診断された途端、何者かに憑かれたように禁煙される患者さんを多く接してきた私としてはなんともやりきれない気持です。
自分の健康は自分で守るしかありません。ガンに罹ってからでは遅すぎます。



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