Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

公立大学と国立大学、どこが違うの? NEW
2016年03月11日

宇部日報(2016,03,11)

      公立大学と国立大学、どこが違うの?
               山口県立大学理事長
                      江里 健輔
私立大学が公立大学になると報道された途端、その年の受験者数が数倍増えたという報道がありました。
何故?
残念ながら、大学の質が向上したのではなく、授業料が安くなったためです。公立大学は設置者である自治体からの交付金で運営されていますから、授業料が国立大学と同じです。国立大学と公立大学の違いは、運営交付金が前者は文部科学省(文科省)から、後者は総務省から設置団体である地方自治体に分配され、それから公立大学に交付される点です。交付金額は領域で異なり、例えば、実験系の領域が人文系より高額です。唯、国立大学の目線は世界に向けた人材養成、世界に向けた研究発信であるのに対し、地方大学は地域に貢献出来る人材養成、地域に密着した研究発信で存在感を保っていました。ところが、文科省は世界競争に勝てる人材を養成することを喫緊の課題とし、@世界最高基準大学、A特定分野で世界発信大学、B地域活性型大学の3つのいずれかの旗を掲げるように要請し、また、昨年6月、「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に取り組むように努める」ことを通知しました。全国の国立大学はこの要請を受けて組織再編に着手しました。ちなみに、山口大学は、地域活性型大学に組入り、教育学部と経済学部の一部を改組し、新たに、国際総合科学部を設け、更に、地域に貢献する組織として地域未来創生センター(平成25年発足した地域連携推進センターを平成27年改組)などをたちあげました。これらの組織は山口県立大学にはすでに国際文化学部(平成6年発足)、地域共同研究センター(平成11年発足、現地域共生センター)として設置されており、これにより、文科省の「グローバル人材育成推進事業」(平成24年〜)や「知(地)の拠点整備事業(大学COC事業)」(平成25年〜)のプロジェクトに採択され、地域貢献型大学として、その存在感を高めております。
しかし、山口大学の改組により。山口大学が規模が大きいだけで、山口県立大学の色と山口大学の色がおなじ色になり、それぞれの大学としての特色が薄れてきたことです。もともと、全国の公立大学は国立大学が担っていなかった領域の人材を養成するという理念があり、山口県立大学でも、山口大学にはなかった国際文化学部や社会福祉学部、栄養学科などを設置しました。
金子みすずの「みんな違ってみんないい」が「みんな同じでみんないい」となってしまい、同じような大学が県内に二つあるのは意味ないという議論も出て来ようとしています。関係者の一人として、県民の方々の期待に沿うような大学にするためにはどのような色にすべきか、模索しつつあるところです。



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