Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

担当医は女医さんにして下さい? NEW
2017年01月24日

担当医は女医さんにして下さい?
山口県立大学理事長
江里 健輔

興味ある論文が発表されました(読売新聞、2017,1,4)。
結論は男性の内科医が診るより女性内科医が診るほうが死亡率が低いということです。男性医師にとっては信じられない、大変ショッキングな結論です。米ハーバード大学の津川友介らによれば、2011〜2014年、米国で入院した65歳以上の患者さん約150万人の診療記録から、男女の内科医師(約58,000人)で患者の経過で違いがあるかを調べた。その結果、女性医師が診た患者さんが入院後30日以内でなくなった割合は11.07%であったが、男性医師の場合は11.49%であった。この割合は男性医師の患者さんの死亡率が女性医師の患者さん並になると、65歳以上の患者さんの死亡率を年間3万2000人減らせるということです。
このような結果が生じた原因は、女性医師が男性医師よりガイドラインに沿って慎重に治療していたことであろうと述べています。
私は女性特有の性格がこのような結果を生じたのではないかと思います。WHOは健康を1948年「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、単に病気あるいは虚弱でないことではない」と定義していましたが、これに「霊的」ということを付け加えています。要するに、自分の人生に対する充実感や幸福感が豊かであることです。例えば、乳ガンの告知を受けて、手術をした患者さんの10年生存率は医学的に情報を入手して、病気に対して積極的に対応した人では80%であったのに対し、告知で絶望した人では20%であったと報告もあります(五木田勉:病は気から、健康日本)。また、同じレベルのガン患者さんの5年生存率は診断時より高いレベルの精神的高揚があり、怒りを外部へ発散する能力、家族や友人のような、いざという時頼りになる人と交わっている人に高かったという報告もあります(Fawzy FJ etal:Phychoeducational interventions and health outcome)。女性は男性にくらべ辛いことがあっても、それを顔に出さず、じっと耐える能力に長けて、誠実、優しさに富んでいるといえます。患者さんは狭い部屋に閉じ込まれ、周囲との関係が一時的に遮断され、唯一のコミュニケーションが保てるのは医療人、とりわけ担当医です。毎日、接する担当医の感情が患者さんには大きく影響します。患者さんの目線で対応して貰えることが患者さんの満足感が充足されます。このような日常の形にない医師の対応が患者さんの経過に影響し、上記のような結果になったことも否定できません。
医療に重要なことは技術であることは当然ですが、「霊的」な満足感も技術に劣らない重要なポイントであることを示した結果だと医療人として考えさせられことだと思います。



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