Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

朝食抜きは虐待に等しい NEW
2017年05月20日

ほうふ日報(2017,05,20)
     朝食抜きは虐待に等しい
         山口県立大学理事長
              江里 健輔

びっくりするタイトルですが、冗談を言っているのではありません。真実なんです。「フェイクニュース(虚偽の情報でつくられたニュース)」「ポスト真実(客観的事実よりも感情的な訴えかけの方が世論形成に大きく影響する状況)」ではありません。政治の世界では「フェイクニュース」や「ポスト真実」が流行し、アメリカ大統領選挙や英国欧州連合(EU)国民投票に大きく影響を及ぼしたということで、すっかり流行語になりました。しかし、医療・医学の世界でもこのような例は結構、沢山ありました。例えば、アガリスク、これを飲めばガンが治るとか、グルコサミンを服用すれば変形性膝関節症が治るとか、これらはその典型例です。
この「朝食抜きは虐待に等しい」と言うと、仰々しいと思われるでしょうが、生活の知恵で「おやつ」という習慣がありますね。

何故、このような習慣があるのでしょうか?
子供の活動による体力消耗は大人に比ではありません。ひとときもじっとしていませんね。これで体力を維持するには相当なカロリーが必要です。でも、1回の食べる量が少ないので、子供の身体が必要としているカロリーを補給するには1日3回の食事では補いきれないんです。だから「おやつ」という習慣があるのです。そうですから、朝食抜きなんて正常人のやることではありません。文科省のデータによりますと、小学生の全国平均で14.7%の子供たちは、親の都合で朝食を摂らない日があるとのことです。

朝食抜きは何故悪いのでしょか?
朝食を摂らないと空腹をきたし、血糖値が下がってきます。血糖値をあげるために、身体はアドレナリンなどのホルモンを分泌し、肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解し血糖に変えることで、血糖値を維持し、空腹感を消します。このアドレナリンは身体に極めて重要なホルモンですが、闘争ホルモンと呼ばれように一瞬のパワーを作り出す作用があるため血圧を上昇させるという負の面があります。つまり、空腹になれば、血圧が上昇し、それが長年続くと高血圧になります。高血圧は、動脈硬化や脳出血の誘因となります。子供が朝食を摂らないと、子供は常時高血圧準備状態にあると言えます。この習慣が数十年間続けば、成人になって、高血圧なり、取り返しがつかないことになります。まさに数十年間にわたり針で体をチクチク刺すような虐待をしているようなものです。
自分の体は自分で守る、これが鉄則ですが、子供達は自分では守れません。大人が守ってやらねばなりません。大人の勝手な都合で朝食抜きのような馬鹿げた習慣を子供に強要しないで下さい。



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