Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

離婚は「誉れ」?? NEW
2017年09月29日

ほうふ日報(2017,9,25)
    離婚は「誉れ」??
       山口県立大学理事長
             江里 健輔
知人が
「嫁いだ娘が離婚し、孫娘をつれて帰ってきた。それまで老父婦二人で会話もなく、しんっとし、淋しい、淋しいと言いながら過ごしていた家庭が急に賑やかになって、会話が飛び交い、笑顔が絶えず、楽しい毎日だよ。喜んではいけないと思うが、離婚さま、さまだよ」
と満悦な顔をして話してくれました。へえ−、これって喜ぶことなの?時代も変わったなあーと思い、
「離婚となれば、犠牲になるのは子供さんだが、実際はどうなんだ。お孫さんが可哀相だと思わんのか?」
「それは逆だよ。仲の悪い夫婦で、毎日喧嘩ばかりし、会話のない父母の間に挟まって生活するより、いっそのこと別れて、気持よく生活する方が孫娘にとってはメンタル的にもはるかに幸せだよ」
「だって、別れると経済的に困るんじゃないか?」
「離婚する時、話合いで、子供の養育費は別れた主人が負担することになっているので、別に大きな問題じゃないよ。それに、娘も働いているので生活に困るわけじゃないし」
50年前までは離婚は家の恥辱ものだということで、両親は嫁ぐ娘に『どんな苦労があろうとも、堪えて、耐えて我慢するんだ。二度と実家に足を踏み入れることはあいならん』と厳しく嫁ぐ娘に諭していた。今では『嫌なことがあったら、我慢することはないよ、何時でも帰っておいでネ、待っているからね』と、さも離婚を勧めているような送り言葉に変わった。
人間の体は細胞が集まって、組織となり、組織が集まって臓器となり、臓器が集まって身体となります。これと同じように、家族は社会が成り立つ『基礎単位』です。離婚が拡大すれば家族消滅をもたらし、社会への影響は計り知れません。戦前は、両親と子供から成り立つ家族をどんな苦労しても守るという使命感みたいなものがあり、離婚は許されないもの、これが一般的でした。最近は、3組に1組が離婚するというデータが示しているように離婚の原因は多種多様で、やむを得ないケースもあるでしょうが、感情のおもむくままに安易に、離婚するケースが多いのも否定できません。

近年では女性の社会進出がどんどん進み、男性に頼らなくても自活出来るようになったという社会の構造、これは素晴らしいことですが、これが高い離婚率をもたらす要因の一つであれば、最小単位である家族のあり方に思いを馳せることが求められていると思うのは私だけでしょうか?



[ もどる ] [ HOME ]