Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

ー外科手術がすぐ受けられなくなる?―
2017年09月30日

宇部日報(2017,9,30)
考えてみませんか?これからの事
       ー外科手術がすぐ受けられなくなる?―
                   山口県立大学理事長
                         江里 健輔


「先生、手術は何時になりますか?」
「そうですね、このところ手術が多く、順番待ちで4ケ月後になりますが、申しわけございません」
「どうしてそんなに待たなければならないんですか?その間に病気が進行しませんか?ベッド空いていると聞いていますが?」
「最近、若い医師が外科医になることを希望しないんで、外科医が足らないんです。手術場空いているんですがね」
 10年後にはこんな会話が病院でされるようになるでしょう。医師数は増えていますが、若い医師はきつい、厳しい、汚いと言われている外科医になりたがらないのが現実です。このような状態はあらゆる職種で見られるようになるでしょう。最大の原因は人口減少、高齢者の激増、社会の支え手の不足です。
ではこれらの原因がわれわれの日常生活をどのように脅かすでしょうか?今回は医療について考えてみます。
厚生労働省が立ち上げた臨床研修制度で、若い医師が都市(患者さんが多く、豊富な経験が出来る)に集中しました。そのため、地域の病院に医師を派遣していた地方大学病院は若手医師不足に陥り派遣できなくなりました。
 山口大学医学部付属病院でも外科医を目指す卒業生は毎年数人とのことです。このひとたちが20年後、山口県の外科を背負うことになりますが、外科医不足のため、とても県内の外科診療を担うことはできません。県は若手医師あるいは医学生に奨学金を交付して、なんとか医師不足に歯止めをかけようと努めていますが、容易ではありません。
 ではどうすれば良いのでしょうか?
若手医師が働きたいと思う施設を設けることです。そのためには病院の「集中と機能分化」しかありません。県内には似通った公的中・小病院が多すぎます。従って、患者さんの集中化ができていません。病院という施設はいくら小規模でも、最低限の医師を常勤させ、最低限の医療器具を備えておかなくてはなりません。例えば、ベッド数200床の病院外科医は通常2〜3人ですが、これらの病院が合併して、500床の大病院にすれば医師数は2〜3倍に増え、大手術など高度の医療に対応できます。医療器具についても同じようなことが言えます。
 山口県の将来の医療を見据えて、病院の「集中と機能分化」を推進することが医療を質を高め、県民に高度な医療を提供することが可能となります。



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