Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

―定年制をなくしたらー NEW
2017年11月29日

宇部日報(2017,11,20)

考えてみませんか?これからのことB
      ―定年制をなくしたらー
山口県立大学理事長
江里 健輔
日本の喫緊の課題は@出生数の減少、A高令者激増に伴う労働人口の減少、B支え手の不足です。人口は2017年1億2653万人でありますが、何等対策を施さない場合、50年後には8808万人に減少すると推測されています。勿論、この推測がそのまま当てはまるとは考え難いですが、何らかの対策は講じることは絶対必要です。
本邦では、定年制があり当然だと受け止められていますが、よく考えてみると不思議な制度です。
私がアメリカに留学した時、隣の研究室のボスが突然大学を辞めました。その理由を訊ねますと、研究費を獲得出来ないため、研究は勿論、研究室も維持できないためであるという答えが返ってきた。アメリカは1967年、40歳以上の労働者について、採用、解雇など雇用のすべての面において年齢を理由とする使用者の差別行為を禁止する「雇用における年齢差別禁止法」が成立しました。ですから、この教授も辞める必要はありませんが、研究費を稼げないため辞めざるを得ません。合理的だなあーと感心したことを覚えています。本邦でも、平均寿命が80代になり、元気な活力ある高齢者が増えたという人口構造の変化に伴い、2013年に「高齢者雇用安定法」が設定され、65歳までの雇用責任が事業主に義務づけられた。これにより、多くの会社では、雇用が延長されました。しかし、役職はなくなり、契約も1年ごとの業務委託契約になり、報酬も大幅なダウンされます。これまで築き上げたプライドを一瞬にして捨てる覚悟がなければ勤まらない条件です。これで働けと言われても、モチベーションは下がる一方です。身体的にも、知的能力も40代の人に劣らない高齢者には余程の理由がない限り受けられる制度ではありません。労働人口減少などに伴う喫緊課題を解決するには、経済的側面(ラジアー理論)もありますが、現今のような定年制をなくすことです。
まだまだ、社会のために役立ちたいという強い意思のある人達に明るい窓を開けておくべきではないでしょうか?
最も、一生涯、働き続けるほどむなしい人生はない、老後ぐらいはのんびりと過ごしたいと思っている方々にはこのコラムは駄文にすぎませんね。



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