Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

子どもの肥満 NEW
2017年12月15日

ほうふ日報(2017,12,15)
       子どもの肥満
        山口県立大学理事長
            江里 健輔

時々、上京することがあります。驚くことは電車の中で本や新聞を読んでいる人は少なく、ほとんどの人が会話をすることもなく一心不乱にスマフォンに集中しています。新聞を広げて読むのが恥ずかしいような雰囲気の車中です。この光景を見ると、テレビの前で1時間過ごすと、心血管に悪い影響をもたらし、寿命が22分短くなると言われていることを“まさか”と一笑することが出来ません。
問題は肥満、特に、子どもの肥満です。
肥満に最も関係ある疾患は糖尿病です。ご承知のように糖尿病は中高年やお金持ちの美食家を襲うということでしたが、この常識がなりたたなくなっています。
糖尿病にはT型とU型があり、T型は子どもに多発し、U型は成人というのが一般的ですが、最近はU型に罹る子どもが増えているという事です。すなわち、運動不足とカロリー過剰が原因で肥満になり、U型糖尿病が発症するという公式が出来でいることです。
生田哲のデーターによれば中学生の糖尿病発症率は10万人あたり4.35(1976~1980)から7.56人(1991~1996)と過去20年間に実に1.7倍に増えています。この子たちは生活習慣を変えないかぎり成人後も糖尿病に悩まされることになります。糖尿病が若者にも多発してきた理由は
@ 肉、ハンバーグなど高脂肪食・高カロリー摂取など食生活が欧米化した
A スマフォン、テレビゲームなどが流行し、屋内で過ごす時間が多くなり、運動不足となった
B 社会構造が複雑化し、ストレスが多くなった
などがあげられます。
子どもの糖尿病発症を止めるために為すべき第一は肥満を解消することです。それには運動量を増やすこと及び食事の改善です。そして、肥満の怖さを教育することです。
健康に関する知識普及は大人には積極的に行われていますが、子ども達にはあまりなされてはいません。小・中学校時代に体力をつけておかなければ、大人になって、いろいろな病気が発症することを徹底的に教え込むことです。小・中学校でも健康授業を設けたり、屋外での体育時間を増やすなど授業内容を変えることも必要です。
「安に居て危うきを思う」という諺の如く、子どもの時から肥満予防をさせることが肝要です。



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