Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

~無意識偏見~ NEW
2018年01月26日

宇部日報(2018,1,26)
考えてみませんか?これからの事D
~無意識偏見~
山口県立大学理事長
江里 健輔

少子高齢化で「地方創生」がホットな話題になっています。「地方創生」のために何をどのようにすべきか誰にも分からないまま議論が進んでいます。中でも若者が地域に定着するようなインフラを設けるべきだと言うことが声高に叫ばれています。政府は「東京23区の大学定員増10年禁止」を閣議で決定し、東京一極集中の緩和につなげたいという意向のようです。私たちが若いころは「青年よ大志を抱け」などと説得され、都会に出て、荒波に揉まれるよう背中を強く押されたものです若者の中には戸惑っている若者もいることでしょう。
一方、高齢者が増え続ける現状では高齢者の活用も無視できません。この場合、頭に浮かぶのは「年寄り」という一種の「無意識偏見」の言葉です。
私がある人に冗談に「次期衆議院総選挙に立候補しようと思うがどうだ」と問いかけましたところ、即座に
「年寄りだから止めとけ、社会の迷惑だ」と即座に否定されました。嘗て、ある総理大臣が「高齢ですから、引退して下さい」と要請し、当人は「まだまだ、知力・判断力・体力は若い人には負けないのに、何故辞めなきゃいけないんだ」とかんかんでした。しかし、世論は概ね賛成でした。
何故高齢になったら「辞めなさい」となるのでしょうか?
体力減退、記憶力減退、知力減退と「減退」が高齢者の代名詞になっているからです。理由は「辞めろ」という根底に全ての面で「減退」と言う「無意識偏見」があるからです。この代名詞を否定する気はありませんが、人生100歳を迎えようとし、 20年後には65歳以上が全人口の40%を占めると推測される本邦では人口減少に伴う負を代償するには高齢者の活用することも一つの得難い策です。
では誰でも高齢者なら大丈夫となるのでしょうか?答えは「ノー」です。人間は年を経るにつれてあらゆる能力が低下してきます。高齢者の運転免許再交付に認知症検査が義務化され、問題なければ運転免許が再交付されます。このように、定年後も働きたいという意思がり一定のハードルをクリアした高齢者には正規職員再免許証なるものを交付する制度は如何でしょうか?
現在の再雇用制度は「昨日までは部下だったあいつが、今日から俺の上司」と揶揄されるように定年を迎えた人達には耐え難い制度です。定年後、正規職員として働ける、これほどの感動はないでしょう。人口減少に伴う労働力の不足を補い、プライドも失うことなく、生き甲斐をもたらすことになります。どうでしょうか?



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