Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

「結果の平等」は不平等 NEW
2018年03月29日

ほうふ日報(2018,3)
          「結果の平等」は不平等
                  山口県立大学理事長
                      江里 健輔
平等であることは社会形成のために欠くべからざることで、人間だれでも平等であるべきです。しかし、「結果の平等」となると、ちょっと待ってと言いたくなります。
ご存じのように平等には「機会の平等」と「結果の平等」があります。「機会の平等」、すなわち、誰もが何時でも、何処でも、何にでも挑戦できるチャンス、機会均等は絶対に必要なことです。しかし、すべての結果を平等にするということは真の平等でしょうか?
例えば、医療費高騰が問題になっていますが、喫煙が医療費に及ぼす影響を考えてみましょう。
日本において、35歳からの生存率をみると、喫煙する人で58%が70歳で亡くなり、喫煙しない人では59%が80歳で亡くなっています。即ち、喫煙は寿命を10年縮めるという報告です。極めて不謹慎な表現ですが、喫煙者の寿命は短いから医療費高騰抑制に協力していると冗談まじりに居丈高に叫ぶ喫煙者もいます。
本当にそうなのでしょうか?
厚生労働省研究班は、喫煙が原因で平成26年度に100万人以上が、ガンや脳卒中、心筋梗塞などの生活習慣病に罹り、受動喫煙を合わせて1兆4900億円、実に国民医療費の3.7%を占めていると報告しています。このツケを喫煙しない人も含め国民全体が負担しています。「結果の平等」ということで喫煙した人と喫煙しなかった人が同じ医療費を負担することが果たして平等なのでしょうか?
非喫煙者には喫煙者より何らかの恩恵を与えるべきではないでしょうか?
欧米では心筋梗塞など動脈硬化を患っているにも関わらず喫煙している患者さんには非喫煙者になられるまで治療を開始しません。何故なら、喫煙で動脈硬化を促進しているのに、動脈硬化を阻止する薬を服用しても焼け石に水を注ぐようなものです。それこそ、医療費の無駄です。
生活習慣病を促進する因子の一つがタバコであることは医学的にも証明されています。喫煙は医療費高騰を煽っています。この高騰を抑制するためには国策で対応しない限り不可能です。
今こそ、「結果の平等」を見直す取り組みが問われています。



[ もどる ] [ HOME ]