Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

考えてみませんか?これからのことをI 〜JR新山口駅北地区拠点施設設計〜 NEW
2018年06月23日

宇部日報(2018,6,20)
          考えてみませんか?これからのことをI
             〜JR新山口駅北地区拠点施設設計〜
              山口県立大学・山口大学名誉教授
              江里 健輔
 
私事で恐縮ですが、山口大学医学部に勤めている間、苦慮し続けた一つは医学部学生が卒業後山口大学医学部あるいは付属病院(以下母校とす)に在職して貰うために何をすべきかでした。
読者の方には判り難いと思いますが、医学部を卒業しても医師として役に立ちません。卒業後、臨床修練を重ねて、漸く信用される臨床医になれるのです。その為、学生は卒業後いろいろな病院で修練を積みますが、母校で修練してくれることが山口大学医学部の教育・研究、更には、山口県の医療の向上、発展に資することになるわけです。昭和40年代には卒業生の半分が母校に在職してくれていましたので、山口県内の医療を支えることが出来ていました。
しかし、現状はどうでしょうか?
卒業生が母校で修練を積んでくれる要因にはいろいろありまが、@母校が世界に冠たる教育・研究をし、未来に希望が持てるかどうか、A生活する場、即ち、宇部市、山口県が魅力的であるかどうかです。
私が宇部に住み着いた昭和30年代は銀天街をはじめいたる所に市民の息吹、活性力がありました。宇部の玄関口である宇部駅(現在の宇部新川駅)に下車した時、眼前に大きな映画館や旅館等が浮かび、田舎からきた若者にとって、「都会」に来たという実感を持たせてくれました。それが今はどうでしょう。これが17万人の町だろうかと首を傾げたくなります。
最近、JR新山口駅北地区拠点施設基本設計が発表されました。それによると、県内の最大規模を誇る収容人員2000人の多目的ホールを中心に、市民交流、産業創造の二つの拠点となる都市空間を形成するとの事です。山口県は「ヘソ」のない県と揶揄されてきましたが、ようやく、山口県にも中核都市(?)が出来るかという期待を感じさせます。翻って、どうなる「宇部市」と思いたくなります。昭和50年代には製薬会社の支店あるいは出張所は全て宇部市にありました。このため、医学研究会や学会が宇部市で開催され、大きな経済効果をもたらしました。それが市町の合併で、全ての製薬会社関係部署が山口市に移転しました。この度の基本設計が宇部市の地盤低下に繋がり、若い医療人の宇部離れに拍車がかからないことを祈るばかりです。



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