Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

責任を取って下さいませんか? NEW
2018年10月26日

ほうふ日報(2018.10.26)
    責任を取って下さいませんか?
      山口大学・県立大学名誉教授
             江里健輔
「オプジーボ重い副作用10%」という見出しで、国民を不安にさせる記事が掲載されていました(読売新聞、2018.8.2付け)。
何故、否定的な見出しになるのでしょうか?何故、肯定的な見出しにならないのでしょうか?
子宮頸ガンワクチン、ご存じでしょうか?
このワクチンは2013年に原則無料の定期接種となりましたが、体調不良を訴える例が相次ぎ、厚生労働省は積極的な接種の呼び掛けを中止しました。欧米では、このワクチンの効果が著明に有効(90%はガンを防げる,日経新聞、2018,1,19付け)であることより、接種を勧めています。しかし、本邦のマスメデアは激しい痙攣などの副作用とワクチンとの因果関係に科学的裏付けが乏しいにも拘わらず、このワクチンは百害あって一利なしと大々的に報道し、一時は約70%あった接種率は約1%にまで下がりました。
そのような中、子宮頸ガンワクチンに高いガン予防効果があることが次つぎに報告されてきています。最近では、新潟大学医学部の榎木隆之らの研究グループがワクチンで高い予防効果があることを報告しています。それによると、新潟県内で2014〜2016年度に子宮頸ガン検診を受けた20~22歳の女性を対象にヒトパピローマウイルス(HPV)感染の有無を調べたところ、ワクチンを接種しなかった459人のうち、10人(2.2%)が発がん性の高いウイルスに感染していたのに対し、接種した1355人で感染したのは3人(0.2%)で、ワクチン有効率は91.1%であったとのことです(山口新聞、2018,10,15a 付け)。
子宮頸ガンワクチンにせよ、薬剤の有効率が高いにも関わらず、数%の副作用を強調し、国民に薬剤の弊害を印象づけ、その為に助かる命をうちなわせた責任は誰が取るのでしょうか?
 薬剤の開発には莫大な研究費とマンパワ〜が必要です。副作用のない薬剤はありません。どのような薬剤でも数パーセントの副作用があります。マスメデアは科学的根拠に基づいて報道すべきで、その報道を信じて従ったひと達が失った「命」を取り返すことはできません。医療報道は他の領域の報道と異なり、より慎重に、特別な配慮で取り扱って欲しいものです。



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