Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

高齢父親の妊娠への影響 NEW
2018年12月21日

ほうふ日報(2018,12,21)
        高齢父親の妊娠への影響
           山口大学・県立大学名誉教授
                   江里 健輔

先進国では初めて子どもを持つ両親の年齢が上昇傾向にあり、高齢期出産は早産やその他いろいろな障害を生じることは知られています。しかし、その原因については必ずしも明らかではありません。
米・Stanford大学のYash Khandwala氏らは父親の年齢と出生児および母親の健康アウトカムの関連について報告しています(Medical Tribune,2018,12,6付き)。対象者は2007〜16年に米国で出生した4,052万9,905人。父親の年齢を@25歳未満、A25歳以上34歳以下、B35歳以上〜44歳、C45歳以上〜54歳、D55歳以上に分けて、生まれた時の赤ちゃんの体重、在胎期間、集中治療室への入室や母親の妊娠糖尿病や妊娠高血圧などを主要評価項目として検討しました。その結果、早産の危険性は、24歳以上34歳以下の父親の子どもに比べ、45歳以上〜54歳の父親の子どもで14%、55歳以上の父親の子どもで25%と高率でした。また、低比重の危険性は24歳以上34歳以下の父親の子どもに比べ、45歳以上〜54歳の父親の子どもで高率でした。一方、母親の妊娠糖尿病の危険度は、25歳以上34歳以下の父親に比べ、55歳以上の父親で34%,45歳以上で18.2%も高かったと述べています。研究者らはこのような結果の原因を「父親の加齢に伴う精子の変化が関与している」
と考察しています。即ち、精子の変化が生まれてくる子どもにいろいろな障害をもたらすということです。
因みに、不妊の原因は女性であると一般に考えられていましたが、現在では不妊の半分は男性が原因とされています。通常、1日に作られる精子の数は6千万から1億で、10億の精子が副睾丸に蓄えられています。一回の射精で放出される精子数は通常1〜4億程度ですが、最近は、精子数が少ない(乏精子症:軽症;5000万、中等症;1000万匹以下、重症;100万匹以下)、あるいは、運動が異常なもの(精子無力症)の男性が増えてきています。当然ですが、父親が高齢になればなるほど、男性ホルモンが少なくなります。それにつれて、精子の老化や劣化が生じ、精子数も少なく、運動も低下します。
生活が複雑化し、多種多様なストレスを受ける機会が増えていますが、精子を老化させないためには@禁煙、A禁欲しすぎない、B睾丸を温めない(サウナを避ける)、C肥満にならない、D食生活の改善(肉類野菜を多く摂取)、E十分な睡眠とストレスの軽減などに努めることが重要とされています。
いずれにせよ、適正な年齢で子宝に預かるように心がけることが大切だと言えそうです。



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