Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

「酒は百薬の長」か?神話の崩壊
2019年01月24日

ほうふ日報(2019,1,20)
     「酒は百薬の長」か?神話の崩壊
         山口大学・県立大学名誉教授
                    江 里  健 輔

昔から酒の飲み過ぎは体に悪いが、適当な量であれば良薬であると言われ、それを心の糧として毎日晩酌をしている殿方が多いようですが、貴方はどうですか?
お酒の好きな人が、酒を飲みはじめて適当な量で止めるというのは至難の技で、ついつい飲み過ぎるのが人間の業(ごう)です。では、適当な量とはどれくらいなのでしょうか?一般的には、1日平均2g程度で、日本酒1合(180ml)、ビール中瓶1本(500ml)、赤ワイングラス2杯(200ml)とされています。
しかし、「酒は百薬の長」というのは真実でないというような研究結果が発表されています。
University of WashingtonのMax G.Griswoldらは1990〜2016年の195ヶ国・地域における飲酒と生存の関連について報告しています(Medical Tribune,2018,9,20付き)。
それによりますと、世界では、総人口の32.5%(約24億人、男性15億人、女性9億人)が飲酒者で、彼らの1日当たり飲酒量は男性17g、女性7.3gとのことです。飲酒は死亡リスクの7番目くらいに位置し、アルコール関連死は280万人(男性の6.8%、女性2.2%)で、血気盛んな15歳〜49歳では男性12.2%、女性38%と高く、地域別では、クウエート、イランなどの中東8ヶ国が最も低く、逆に、最も高い国はバルト・東欧・中央アジヤ諸国であったと報告しています。また、健康リスクを最小限に抑えるアルコール摂取量は、1日0gであると述べています。この結果より、共同研究者のGakidou氏は「1日に10〜20gの飲酒が健康に良い影響を及ぼすという従来の考えは神話にすぎない。今回の研究でこの神話は崩壊した」と述べています。
アルコールは@高カロリーによる肥満、A血圧上昇、B脳卒中や心筋梗塞、C睡眠障害、D脱水症などを誘発します。
日本は世界有数の長寿国ですが、健康寿命が短くてはあまり自慢になりません。健康長寿を望むなら、毎日の晩酌は止めた方が良さようです。



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