Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

ご存じですか、サイレントキラー NEW
2019年02月27日

ほうふ日報(2019,2,17)

    ご存じですか、サイレントキラー
     
最近、肥満した児童が多いと思われませんか?これは当人にとっては勿論のこと、本邦にとっても由々しくことです。何故、肥満児が増えたのでしょうか?
車はガソリンで走ります。では、ガソリンに相当するものは人間では何でしょうか?
答えはブトウ糖です。ブトウ糖はエネルギーの源で、血液で溶けて、全身に回り、細胞に利用されるので、人間が活動出来るのです。このように人間にとって重要なブトウ糖は多くても、少なくても体によくありません。しかし、人の体はよくしたもので、膵臓から放出されるホルモン、即ち、インスリンが血液中の血糖値を厳しくコントロールしています。インスリンが健全な時にはなんら問題ありませんが、ウイルス感染や膵臓に障害がある場合、インスリンの遺伝子が変異(性状が変わる事)したり、インスリンの遺伝子を受け取る側(受容体)が変異した場合、異常なインスリンが生産され、インスリンが細胞に効かなくなることがあります。そうなると、ブトウ糖が細胞に利用されなくなります。その結果、血液中の血糖値が高くなり、過剰なブトウ糖が毛細血管をふさぐので、そこから先の細胞に血液が流れにくくなり、このためにいろいろな症状がゆっくり全身に現れてきます。これが糖尿病です。このように、症状が、足音もなく、ひっそりと忍びより、気がついた時には進行していることが多いので、サイレントキラー(静かな殺し屋)というニックネームがついています。
最初の症状は口が渇くという軽い症状ですが、そのうち、神経、眼、腎などの障害、足趾の壊死(腐ること)などさまざまな症状がでます。眼の血管が詰まったり、出血すると、失明(日本では年間3000人以上)します。腎機能が障害されると、尿にでるべき老廃物や毒素が体内に蓄積され、これを排除するため人工透析が必要となります(日本では年間約1万2000人が透析を開始している)。こうなると、まともな生活を送ることが困難になります(QOLの低下)。
糖尿病には生まれつきインスリン分泌不足によるT型と肥満、運動不足、ストレスにより発生するU型がありますが、問題はU型が日本の児童に急増していることです。理由は食生活が欧米化したこと、屋内で過ごす時間が多くなったなど、児童の生活様式が変わったためとされています。
これから輝く未来が待ち構えている児童達、これからの日本を背負う児童達を一生涯悲惨な状態に陥らせないようにする責任は保護者にあります。子ども達が規則正しい生活習慣を持つように気配りすることが保護者の役目です。



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