Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

悲しい、辛い話です NEW
2019年03月30日


  考えてみませんか?これからの事R
      悲しい、辛い話です
      山口大学・県立大学名誉教授
              江里 健輔
現在、早期診断・早期治療で、ガンからの生還が可能な時代となりました。そのため、当局は検診・健診を受けることを推進していますが、受診率は相変わらず20%前後で高くありません。
最近、慚愧の思いで私の所に来られた相談に胸が疼くような痛ましい気持が募りました。
患者さんは65歳の女性です。
「私は早期診断・早期治療を守っていれば、ガンで死ぬことはないと信じていましたし、今でも信じています。その為に、Aクリニックで、毎年忘れずに検診・健診を受けてきました。昨年11月の診察でまったく異常ないと言われ、すっかり安堵していました。今年の1月、夜中に急に右下腹が痛くなり、救急車で、近くの総合病院に運ばれました。丁度、当直の先生が消化器専門医で、丁寧に診察して下さり、『お腹に塊が触れます。どんなものかわかりませんが、明日、受診して頂けますか』と言われました。翌日、色々検査を受けた所、『大腸ガンの末期で、手術が出来る状態じゃありません』と宣告されました。突然、奈落の底に突き落とされ、真っ暗の一本道を彷徨っている自分の姿でした。先生、何故、何故ですか?何故、早く見つからなかったのですか?」
と泣きじゃくりながら訴えられました。私は何をしてあげることも出来ず、患者さんの手を黙って握り、発する言葉もありませんでした。
結論は医師のミスです。では、このような状況を避けるにはどうしたらよいのでしょうか?
それは、大変難しいことですが、受診している医師が信用出来るかどうかを見極めることです。
現在、医療は専門化されています。従って、医師は専門領域の知識には詳しいですが、専門外になると素人みたいものです。受診している医師の専門が何科で、患者の思いを気持良く受け止めてくれるかどうかが信頼度を測る要因となります。
この患者さんの場合、Aクリニックを100%信用されておられたことです。セカンドオピニオンを活用を適時担当医に申し込むべきでした。医師によってはセカンドオピニオン受診を申し出ると、立腹する医師がいるそうですが、そのような医師に己の身を委ねること自体が間違っています。自信のある医師なら喜んでその受診を勧めてくれる筈です。
悔しいことですが、今に至ってはなんら打つ手はありません。自分の身は自分で守って欲しいです。



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