Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
執筆情報 [詳細ページ]
癒やしのそよ風(ほうふ日報)

医師の勤務を裁量制にせよ NEW
2019年04月25日


     医師の勤務を裁量制にせよ
        山口大学・県立大学名誉教授
                     江里 健輔

深夜での病棟、
「一昨日手術を受けた主人が苦しんでいます。担当の先生を呼んでくれませんでしょうか?」
応対を受けた看護師さん
「担当の先生の残業業務時間が上限を超えていますので、お呼びする事は出来ません。もし、呼べば、罰則を受けます。当直の先生じゃいけませんか?」
「当直の先生じゃ、どんな手術がされたか分からないでしょうから、担当医がいいです」
このような会話がこれから先、医療現場で頻繁に発生するでしょうが、患者さんや家族の方々には担当医が診てくれないことに到底納得出来ないと思われます。
これまでは、受け持ち患者に急変が発生すれば、担当医は万難を排し、即座に患者さんのもとに駆けつけています。それが出来なくなる可能性があります。理由は去年成立した「働き方改革関連法」で働く人の残業時間に制限を定め、これを守らないと罰則されるようになったからです。しかし、医師の残業時間を一般と同じにすると、医療が崩壊するような現場があるので、勤務医は別枠の残業時間を設けることになりました。即ち、通常の勤務医の残業時間の上限が年960時間、地域医療のために長時間労働が必要な勤務医や集中的に技能向上が必要な勤務医の上限が特例として年1860時間に定められました。週1回当直をし、休日を年80回とすると、平均14時間ばかり働くことになります。
私見ですが、このような制度が到底守られるとは思われません。
まず、上記の会話のように、患者さんや家族の担当医離れが出来ていないし、担当医も受け持ち患者を他の医師に委ねる様な文化がないからです。
ではどうすれば良いでしょうか?
「裁量制」にすることです。
現在の制度では、医師も1日8時間という勤務時間に縛られています。仕事があってもなくても職場から離れることができません。しかし、医師の仕事は勤務時間ではなく、患者さんの状態で決まります。即ち、患者さんの状態が悪ければ、患者さんから離れることは出来ませんし、しません。しかし、裁量制では自分の思い思いで、自由に時間を費やすことが出来ます。この制度を医師に適用すれば、確実に過労を防ぐことが出来、患者さんや家族の不満もなくなります。




[ もどる ] [ HOME ]