Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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癒やしのそよ風(ほうふ日報)

フランク徴候
2019年05月23日

フランク徴候
    山口大学・山口県立大学名誉教授
              江里 健輔

「フランク徴候」ってご存じでしょうか?動脈硬化症という病名ならご存じと思いますが、「フランク徴候」という言葉を知っておられる人は少ないでしょう。これは動脈硬化症のサインです。これは耳たぶに斜めにできる深い“しわ”のことです。耳たぶには毛細血管が多く通っています。動脈硬化が進みますと、血の巡りが悪くなり、細部に栄養が行き届かなくなるため、耳の脂肪部分が縮んで“しわ”になったものです。
早速、鏡で、耳たぶを観察してみて下さい。もし、この“しわ”が認められたら、貴方の血管は硬くなっていると言えます。
ひとの血管の全長は地球一周以上で、身体最大の臓器です。この臓器に変化が起きれば、全身臓器に障害が発生します。その代表的な疾患が心筋梗塞や脳梗塞です。動脈硬化はゆっくり進行し、じわじわと体を蝕んできます。症状が現れた時は動脈が相当硬くなっていると言えます。
ガンは怖い病気ですが、定期的に検査すれば、早期に発見出来、早期治療で、ガンから生還できます。その意味で検診など対応がよければ、必ずしも怖い病気ではなくなりました。これに反して、血管は一旦硬くなると、元の柔らかい血管に戻すことはできませんので、本当に怖い病気です。
心筋梗塞は心臓の動きを支えている冠動脈が硬くなり、血液の流れが悪くなり、心筋の伸縮が障害されるものです。血液が流れる冠動脈の内腔が正常な内腔の25%以下になると、胸の痛みなどの症状が現れてきます。この血管が完全に閉塞し、血液が流れなくなると、心筋に栄養がとどきませんので、心筋は腐ってしまい(医学的には壊死といいます)、いわゆる心筋梗塞となります。一方、脳梗塞は心臓由来と血管由来がありますが、血管由来は主に首の血管(頸動脈)の内腔の壁に粥腫(悪玉コレステロールや血管内の異物を貪食したマクロファージが沈着した油の塊のようなもの)が溜まり、これが遊離し、脳動脈に引っかかり、動脈を閉塞し、脳の細胞が壊死に陥るものです。これらの病気は速やかに対応すれば治癒しますが、初期対応が遅れれば、死とか片麻痺などの後遺症で最悪の状態になります。
自分の血管が硬くならないうち



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