Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

猛暑を乗り切る!! NEW
2019年07月29日


  猛暑を乗り切る!!
      山口大学・県立大学名誉教授
               江里 健輔

近年の猛暑を受け、スポーツの現場では各種の対策が始まっています。今年は、全国高校野球における甲子園での開会式で、高校生の直立不動の姿が見られなくなり、代わって、「座り」で臨む姿を見るようになりそうです。また、夏場では各種のスポーツを涼しい北海道開催しようという機運もあると聞いています。
以前はスポーツをしている最中は「水を飲むな」、「塩をなめろ」という非科学的な事が主張され、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という諺がスポーツマンの精神的支えになっていました。東條英機は精神論を好み、第二次世界大戦の際、サイパンが陥落し、日本が窮地に陥った時、当時の軍需次官兼国務大臣であった岸信介に
「いま、島では将兵が必死に戦っている。日本にいる我々が、負けたときのことばかり考えておってはいかん。必勝の信念さえあれば、戦いに勝てるものなのだ」
と述べています(中路啓太:ミネル とマルスより引用)。まさか、この言葉が現在も生きているとは思いませんが、ただ、絶句するのみです。
体の水分量は子どもで体重の70%、成人60%,
高齢者50〜55%と、体重の半分以上は水です。従って、水分量の多少が体に強く影響します。人間は、1日2〜2.5Lの水を尿や便などから排出しています。そのため、排出された量と同じ量、2〜2.5Lの水分を摂取しなければ生きて行きません。例えば、平均的な食事をしている人は食事の中に含まれる水分で1L摂取し、 食べ物を分解する際に生じるエネルギーで水分200mlが生じますので、残りの800〜1300mlを飲料水として摂らなくてはなりません。問題は平均的な食事が出来ない乳幼児、高齢者、体調不良な人、発汗など激しい屋外労働者さん達です。環境に敏感に対応することが出来ませんので、容易に脱水症、熱中症に陥ります。このような脱水症を防ぐには
@ こまめに水分を補給する
A 汗を沢山かいた時には1Lの水に対し、1〜2グラムの食塩を加えた食塩水を摂る
B 体重を測定し、減った分と同じ量の水分を補う
などの対応が必要です。
水分補給は一度に大量を補給するのではなく、1回一口でもいいですから、頻回に口に入れることです。猛暑を乗り切る玉手箱はありません。この猛暑を科学的に乗り切って欲しいものです。



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