Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

考えてみませんか?これからの事㉕ ~薬は最後も砦です~ NEW
2019年09月30日

宇部日報(2019,925)
     考えてみませんか?これからの事㉕
   ~薬は最後も砦です~
        山口大学・県立大学名誉教授
江里 健輔
「メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)」は内臓脂肪が増え、急性心筋梗塞や脳卒中などの血管疾患になりやすくなるので、これらの疾患を早期の段階に発見・治療したり、予防したりするために設定されている病名です。血管は動脈、静脈、毛細血管からなり、これらは全身にくまなく拡がって、合わせると、10万キロメートルに達し、地球を2周半するのと同じ長さになります。だから、血管疾患は全身病で生命維持にもっとも重要な臓器です。その代表的疾患の一つに高血圧症があります。国内の高血圧患者は約4300万人と推定されています。
この度、日本高血圧学会は高血圧治療の指針を改定しました。これによれば、75歳未満の成人の血圧目標値を収縮期血圧130mmHg以下、拡張期血圧80mmHg以下としました。しかし、治療を開始する基準値は収縮期血圧140mmHg以下、拡張期血圧80mmHg以下と従来と異なっていません。従って、目標値より高いということだけでは治療の対象にはなりません。
ご存知のように、血圧は微妙に変わります。座った状態、立った状態、仰臥位など測定時の姿勢で異なり、また、初回、二回、三回と測定回数を重ねても異なってきます。従って、1回の測定で、血圧が高いからと血圧を下げる薬(降圧剤)を飲むのは間違っています。降圧剤は一度飲み始めると一生涯飲まなくてはならなくなります。私に言わせれば、一種の麻薬みたいなものです。安易に飲み始めないことです。
好きなだけ食べ、好きなだけ飲んで、好きなだけ喫煙し、血圧が高いからという理由で薬を飲むのは場違いです。まず、生活習慣を整え、それでも血圧が下がらなければ、最後の手段として、降圧剤を服用始めるべきです。
「一に運動、二に食事、しっかり禁煙、最後に薬」とメタボ検診標語があります。「血圧が高いですねえ」と言われたら、まず、額に汗が滲む程度の有酸素運動です。食事では、肉などの動物性タンパクもさることながら、植物繊維を沢山含む野菜などを積極的に摂取することです。これらの方法を講じても、血圧が下がらない場合にのみ薬を飲むことです。
健康もボッとしていては維持できません。汗をながさなければ身につきません。






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