Kensuke Esato,M.D.
江里 健輔
 
江里 健輔
山口大学名誉教授
山口県立大学学長・理事長
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風のとき(宇部日報)

未病と台風 NEW
2019年11月01日

         
      未病と台風
      山口大学・県立大学名誉教授 
             江里 健輔

台風と病気、まったく関係ないように思われるかもしれませんが、早期対策という点からみれば、酷使しています。
東日本を直撃した台風19号は想像を絶する被害をもたらしました。被害者の方々の思いを察するに、さしあげる言葉が見つかりませんが、「頑張って下さい」としか言いようがありません。
報道の中に「横殴りの雨は降っていた12日午后10時半ごろ、腰が悪く、歩くにも苦労していたAさんに息子さんが『大丈夫か』と電話したところ『わかった。今のところ大丈夫』。そのやりとりが最後になった」(読売新聞、2019,10,16)とありました。このような災害を経験されたことのない方には「瞬時に水が押し寄せる」ことはとても理解できないでしょうが、水が来たら、もう遅いです。水が来ない前に安全な場所に避難しなければなりません。テレビは今回の台風をしつこく報道していました。所詮、他人ごとだったのでしょうか?関東を直撃すると予想されていましたので、小笠原諸島を襲った時に避難されたら、尊い命を失うことになかったのではないかと悔やまれます。
病気もそうです。ここまでは「健康」、ここからは「病気」というように明確に分けることはできません。西洋医学は「自覚症状はないけれど、健康診断の検査値が少しずつ悪化している状態」を「未病」と定義しています。昭和40年ごろには早期診断が出来ませんでしたので、「未病」という言葉はありませんでした。しかし、医学・医療が進歩し、今では症状がない段階で、病気を見つけることが出来るようになりました。早期発見で早期治療すれば、ガンを始め、いろいろな病気から生還出来る時代です。言い過ぎかもしれませんが、特殊なガンを除き多くのガンで命を失うことは少なくなりました。
それなのに、「体になんら不自由がないのに、どうして検診・健診を受けなくちゃいけないの」と私に投げかけられた人おられましたが、驚きの一言です。未病の時こそ、健診・検診を受けるべきです。水が来て逃げるのではなく、水が来るまえに逃げるべきです。病気になって治療を受けるのでは、病気になる前に治療を受けるべきです。それが貴方の、家庭の幸せに繋がります。



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